第26回 ニューノーマル時代の「オフィスのカタチ」とは?<前編> 2021/5/12
ニューノーマルの時代にオフィスはどのようになっていくのでしょうか?
我々も、そして何よりお客様の経営者にとって、大きな関心事です。
本稿では実例に基づき、前後編2回に分けて「ニューノーマル時代のオフィスのカタチ」を取り上げます。
まず前編では、ニューノーマルの時代の「オフィスのカタチ」はどのようにして決まるのか?について、考えます。
------------------------------------------------ <CONTENTS> --------------------------------------------------
【1】「オフィスのカタチ」を決める上で、重要な与件とは?
- 2020年からオフィスを設計する上で、とても重要な与件が2つ増えました。あなたは、何だとお考えですか? -
【2】お客様は、これからの「オフィスのカタチ」で何を悩む?
- お客様は、これからのオフィスについて悩まれています。あなたは、何を悩まれていると思いますか? -
【3】「オフィスのカタチ」が決まる、重要なデータとは?
- ニューノーマル時代では、あるデータによってオフィスのカタチが決まります。あなたは、そのデータとは何だと思いますか? -
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【1】「オフィスのカタチ」を決める上で、重要な与件とは?
2020年から、オフィスプランニングにおけるとても重要な与件が2つ増えました。
あなたは、何だとお考えですか?
回答はこちら(諸説ありますが・・・)
1つ目は、「出社率」です。
がらんとしたオフィスにデスクがいっぱい並んでる風景、テレビでも良くご覧になると思います。
この出社率が重要な理由は、「オフィスのカタチ」特にワーカーのデスク席数や面積設定に大きく影響するからです。
2つ目は、「フリーアドレス導入率」です。
「フリーアドレス導入率」とは、<フリーアドレス・ワーカー数/全ワーカー数> 例えば100名のワーカー中、
フリーアドレスワーカーが40名いれば、40%となります。
出社率が減っても、全員固定席であれば、デスクはワーカー全員分必要になります。多くの会社が出社率を見直しています。
当然全員分の固定席はムダという考え方が主流になっています。出社率とフリーアドレス導入率の組合せで、
「オフィスのカタチ」特に席のカタチや、席数が決まります。
コクヨ品川CAMPUSの4F「捗る」フロア
ハイスペックな機器やデスクが用意され、集中や没頭がしやすい(ホテリング:予約席での運用)
品川CAMPUSは、フリーアドレス率100%で、ワーカーは目的や好みに合わせて場所を選択する。
【2】お客様は、これからの「オフィスのカタチ」で何を悩む?
お客様は、これからのオフィスについて悩まれています。
あなたは、何を悩まれていると思いますか?
回答はこちら(諸説ありますが・・・)
1つ目は、オフィス面積です。
「出社率が下がれば、オフィス面積はどうなるのか?やはり削減か?」と、よく聞かれます。
Withコロナになり、特に首都圏では多くの企業が縮小移転を行いました。
テレワークで会社に来なくても仕事はこなせる。オフィス賃料(固定費)を下げたい。というのが主な理由です。
さて、ではこれからは?というと、少し様相は変わってきたようです。
前回のNNNaviでもご紹介したように、多くのワーカーがオフィスでやりたいことベスト3として、
雑談、相談、意思決定などリアルなコミュニケーションを求めています。
中でも管理職層は、「会社に来なくて大丈夫なのか?、報連相は?、仲間づくりは?」といろいろ心配に・・・。
ここに来て、オフィスの重要性が非常に高まっています。
「出社率が下がれば、オフィス面積はどうなるのか?やはり削減か?」との質問に対しては、このようにお答えしています。
「事務処理や、思考・集中業務は在宅勤務がはかどるようです。反面、リモートのみのコミュニケーションでは、
不安・不満が高まっています。特に雑談や相談、コラボや意思決定は、リモートでは難しいようです。
また、在宅環境が十分でないワーカーも多くおられます。このようなニーズがオフィスにおいて、高まっています。」
「よって、決まった形のデスクワーク中心のオフィスから、
①様々なコミュニケーションができる、②デスクワークでは自宅よりも秀でた環境がある、③そして自由に場所を選択できる
オフィスへと変化しています。」
「つまり、どのような働き方をオフィスで目指すのか?「オフィスのカタチ」はそれで決まります。」と。
安易に面積を削減するのではなく、ニューノーマル時代の使い方を検討しましょう、ということになります。
コクヨ品川CAMPUSの8F「集う」フロア
コラボ型のコミュニケーションのためのフロアです(予約制)
そして、
2つ目のよくある質問は、「他社はどうしているのか?」、「自分たちはどうすれば?」です。
ACW事務局では、コクヨマーケティング株式会社の空間ソリューション本部(設計部門)との合同チームによって、
ニューノーマル時代のオフィスの事例を、ビフォー・アフターで分析しました。
結果、いくつかの傾向や方向性が見え、「ニューノーマル・オフィスモデルプラン」として、まとめることができました。
この件につきましては、次項と<後編>で詳しくご紹介させていただきます。
【3】「オフィスのカタチ」が決まる、重要なデータとは?
実際のオフィスの事例では、ビフォーの「オフィスのカタチ」は、ほぼ共通していました。
しかし、アフターの「オフィスのカタチ」は実に様々でした。一体何が変わったのでしょうか?
ニューノーマル時代では、「オフィスのカタチ」が決まる、あるデータがあります。
あなたは、そのデータは何だと思いますか?
回答はこちら(諸説ありますが・・・)
それは、それは、エリア面積構成比の違いでした。
前述の事例をベースに、サンプルとなる事例を調査しました。
結果、タイプによってあきらかにエリア面積構成比が変わることがわかりました。
特に顕著なのは、デスクエリア(執務エリア)で、
ビフォーのオフィスでは、50%程度の構成比がありましたが、
見直し後は、約1/3以下になりました。
その反対に大きく増えたのは、近年トレンドのオフィスラウンジエリアです。
こちらは、デスクエリアの減と正反対に増えていることがわかりました。
今回の調査では、「オフィスのカタチ」は概ね以下の4タイプに分かれることがわかりました。
実例に見るエリア面積構成比(コクヨACW事務局「ニューノーマル・モデルプラン」より)※転載厳禁
これ以外に「席数データ」(ソロワーク&コミュニケーション)と、収納量データの違いに明確な差がでました。
ちなみにコクヨ品川CAMPUSでは、個人ロッカーも廃止、一人当たりの書類量は0.1fm(ファイルメーター)です。
かなり思い切った例ではありますが、ニューノーマル時代のオフィスにおいて、ペーパーレスが進み、
収納量が大幅に下がるのは間違いなさそうです。
【次回は】実例にみる4つのモデルプラン
次回<後編>では、実例をベースにした4つのモデルプランについて、具体的に見ていきたいと思います(2021/5/26UP予定)。
どうぞご期待ください。
実例に見るエリア面積構成比(コクヨACW事務局「ニューノーマル・モデルプラン」より)※転載厳禁
これからも様々な情報をお届けしたいと思います。
会員様からのお声もお待ちしておりますので、ぜひ下のアンケートからご意見・ご感想をお寄せください。
ありがとうございました。